アイルランドで癒し釣り

みなさん今晩おはようございます。

Howth釣行の第４話になります。
初めからお読みになりたい方は「あっちの岬は釣～れるぞぅ」へ、
第２話を読みたい方は「道すがら。」へ、
一つ前の第３話を読みたい方は「下見十分」へそれぞれどうぞ。

今日も写真一杯です。


HowthのWest Pier（西防波堤）は、先端が釣り専用のスペースになっていると
案内ウェブサイトで読んだのですが、
別に閉じているわけでもなく、管理されているわけでもなく、
純粋に防波堤の先っちょがそういう目的に開放されている、という感じです。

眺めも良く、East Pierに比べて歩く距離も短く、
おまけにレストランやら魚屋さんやら並んでいるものですから、
お年寄り、ご家族連れ、そして恐らくは語学学校などの留学生が
入れ替わり立ち代りやってきていました。


しかしそんな中さんさんと輝く案内標識。


クリックで壁紙(1920 x 1200)。Camera : Sony Ericsson C510

おー。普通は釣り人に注意を呼びかけるもんなんだがなぁ。
釣りするところだから気をつけろ、と、
観光客より釣師を優先するこの標識にちょっと感動です。

East Pier側の左面はMalahide（マラハイド）へと続く湾に面しています。
城壁の様に内側は段々になっていて、
海面まではちょうど良い高さがつくられています。
子供でもチョイ投げで釣ることができそうです。遠投もしやすそう。


Camera : Sony Ericsson C510 Cybershot Mobile

竿を出している人がいたので、さっそく話を聞いてみました。

この日は朝９時から今までやっていたが、
ピクリともいわない。
もう寒くなっちゃったのでもう帰る、
と少々不吉なコメント。


お時間を取らすのは申し訳ないので、
手早く狙っている魚、餌の種類、そして仕掛けについてききましたが、
快く丁寧に教えてくださいました。


狙っている魚は特に無いけれども、
Codling（マダラの子）、Flounder（カレイやヒラメ）、Conger（アナゴ類）あたりが
釣れればよいと思っているとのこと。

エサはこのWest Pierにあるの魚屋で買ってきた冷凍サバ。
こちらではサバやスケトウダラを切り身にして良くえさにしますので、
至極一般的な釣り餌です。

仕掛けを見せてもらったところ、
これまた一般的な投げ釣りの仕掛け。
針は２本、サバの切り身がチョンがけ、
針金つきのおもりはどうやら３oz（85g）のようです。

別れ際、こっちよりもEast Pierの外海に面したところのほうが
良いかもしれないといっていました。
そんじゃぁあんたはなぜこっちで釣ってるのよ、とは言えないな（笑）
たしかにあちらも良さげでしたが、足場がねぇ。


餌や仕掛けは特といって気にすることは無いけれども、
針金おもりを使っているということは、流れが結構あるってこと。
おもりはやっぱり針金つきじゃないとだめなのかなぁ。

ってかあの禍々しい形のおもり、正式名称ってあるのだろうか。
ちょっと調べてみました。


拾い物。

どわぅ。
Beach Bomb - Gripper Sinker（海浜爆弾－くわえ爪錘）というらしい。
こんなイケてる名前だとは知らんかった。

こういう紡錘形のおもりのことをBomb（爆弾）型というようです。
まぁ、こいつが上からひゅるるる～ボチャンとする様は、爆弾に見えなくは無いけど・・・。
日本と違って戦争に対するマイナス感情が薄いせいか、
過激な名前、大いにOKなのでしょう。

流されないよう錨の役目をする機構つきのものはGripperとかBait holderが名頭につき、
針金の部分はGripleadsといって、自作用に売ってるらしい。
なるほどー。


話がそれましたが、右面から、周囲に敷設してある波止ブロック（というか岩）へ
容易にアクセスすることができます。
行こうと思えば、段々の裏側（海側）に回ることもできるようになっています。
見た感じ深さは結構あり、落し込み釣りもできそうです。


Camera : Sony Ericsson C510 Cybershot Mobile

港の入り口は意外と狭く、East Pierは目の前。
船道がいい感じに掘れてそうです。

さらに、それなりの台数が止められそうな駐車場が突き出しています。
あれ、脱輪したり落っこちる人はいないのだろうか。

夏場は相当な数の釣り人が来るそうなので、
十分な駐車スペースを確保しているのでしょう。
聞いたところでは、隣の人と肩が触れるくらいに混むそうです。
（あながち大げさだと思えないあたりが怖い）

しっかしまぁ、日本の釣り施設なんかを考えると、
実にこじんまりとしています。
３０・・・２０ｍあるかないかだよなぁ（笑）



Camera : Sony Ericsson C510 Cybershot Mobile

さて、私も竿を出すことにします。
今日は特といって準備をしてきていないので、
サビキと底釣りの仕掛けを一本づつ。

サビキは日本でたっぷり買い込んできたハヤブサの蓄光堤防小アジ五目 MIX（スキン）の９号。
底釣りは例の自作天秤で作った仕掛けにGulp! Aliveをつけました。

Gulp!、ぜんぜん釣れないんですけど、
今日みたいに様子見の時には重宝しています。


それぞれに2ozのおもりをつけて、びしっと投擲。

段々の上はちょっと寒いので、
竿は段に沿って立てかけ、下にいることにしました。


Camera : Sony Ericsson C510 Cybershot Mobile

と、竿が倒れる倒れる。
やはりというか、海流でおもりが強く転がっているようです。
こう早く転がってしまうのでは、魚はなかなかかからないだろうな。
仕掛けも丸まってしまっているかもしれない。

底釣りのほうはやや左、海岸のほうへ投げなおします。
サビキはおもりを1oz重くして、なるべく遠くへ。
流されるに任せることにします。


HowthといわずSkerriesやColliemoreでもそうでしたが、
海岸に沿ってカニやエビを取るための仕掛けというか
カゴのようなものが沈めてあります。

カゴには目印としてブイが結び付けてあります。
これがなかなかあちらこちらにあり、気をつけないとひっかかるので気をつけます。
特に、流れが速いといつの間にか絡まっていることもあるので要注意です。


そして・・・・４時間。
釣れません。あたりすらない。さっぱりです。


広範囲を探るなど、あれこれ試したいことはあるのですが、
ほぼひっきりなしに、誰かしらが話しかけてくるため手につきません。

日本でも観光地などでは見知らぬ人と出会いと会話があるかと思いますが、
アイルランドはちょっと特別ですね。
数えたわけではないですが、３組か２組に１組は挨拶してきます。
釣道具には子供が群がります。
（子供が群れるのを見るとインド思い出します（笑））

そして、挨拶したうち、半分くらいはなにかしら質問してきます。
大抵は、５分程度ではありますが、あれこれ話が弾むことになります。

質問の内容は大抵同じなので、私は同じ内容を繰り返すことになるのですが、
たずね方は一緒でも、何を知りたいのかは案外それぞれ違っていて面白いです。

「釣れました？」　＜今夜のご飯を聞いていると後に判明
「釣れました？」　＜釣りを始めたいと思っていると後に判明
「釣れました？」　＜つれてたら子供に見せて欲しいと後に判明
「釣れました？」　＜雑談したいだけで釣りは無関係と後に判明
「魚上鉤吗？」　　＜中国人の友達が欲しかったのにしくじったと後に判明
（中国語は適当に調べて書きましたので悪しからず）


中にはがっつり３０分以上話していく人もいます。（今までの最長は２時間強・・）
この日、印象的だったのは７０くらいのおじいさん。

　　昔は良く釣りをしたんだ。
　　そう、この竿先を何時間も何時間も見ていると、時間も忘れるくらい楽しい。
　　ん！きたんじゃないか！ひいてないか？違ったようだな。残念だな。
　　糸がピッと張っているな。こうで無くてはいけないな。
　　おもりは何だ、糸は何を使ってる。うん。いいぞいいぞ。つれるんじゃないか。
　　・・・・・・

一言ごとにうなずき、時折質問など振りつつ話をしていたのですが、
ほとんどは上の５行のバリエーションで、完全に話がループしています。

少々興奮ぎみな話し方をされていて、まるで少年のようです。
一緒にいらっしゃっていた、息子夫婦も困惑気味、
というか「何やってんだ親父・・・」な顔してます。

大分しばらくしてから、そばでニコニコしていた奥様・・・かな？が、
うまく途中で加わったと思ったら、話を終わらせて下さいました。

話がループしますから、興味あるように聞き続けるのは、
３週目あたりからちょっと苦痛でした。
でもね、こういうの、私は結構好きなんです。
繰り返してても、ほんの少し違うのが好きなんです。
なにがそうさせたのかなぁって考えるのが。

むしろ、帰るときに息子夫婦が挨拶もしなかったのはカチンときました（笑）



Camera : Sony Ericsson C510 Cybershot Mobile

先ほどの釣り人がポイ捨てしたサバを、小鳥たちがついばんでいます。
海外では鳥をいじめないので、鳥がこっちを怖がらない、
なんてことはまったくありません。
身じろぎするだけで逃げていき、しばらくするとおずおずと戻ってきます（笑）



Camera : Sony Ericsson C510 Cybershot Mobile

大分日も暮れてきました。
今日はこれまでだな・・・・。


HowthはColliemoreやSkerriesと違い、
観光地にある釣り場なので、
一人でのんびりするにはあまり向いていない場所のようです。

が、老若男女、いろんな人が話しかけてくれるので、
アイルランドに触れ合いたい人にはもってこいです。

交通の便も良く、景色は最高。
釣りに飽きれば堤防にあるレストランで食事もできるとくれば、
なるほど人気があるわけですね。


しかし・・・坊主か。ここでも坊主なのか。
帰り道、小さな決意を胸に抱いたのでありました。


「釣り、癒し、意味。」へつづく。


パパ先制打